転職活動は在職中に行うのが基本です。とはいっても、やむを得ない理由で次の仕事が決まる前に会社を辞めるケースはあると思います。
今すぐにでも会社を辞めたいけど、転職先が決まっていないと不安ですよね。実際、会社を辞めてから転職活動をすることで、選考が不利になることはありません。
ただし、辞めてから転職活動することをおすすめするのは金銭的に余裕のある人に限ります。会社を退職後、収入が途絶えたとしても、家賃や食費、生活費など支払わなくてはなりません。
このような状況で転職先が決まらないと、余裕がなくなっていき、妥協して転職してしまうことがよくあります。
そこで、本記事では転職先が決まる前に仕事を辞めるメリット・デメリットについてまとめました。
転職先が決まる前に仕事を辞めるメリット
転職先が決まる前に退職するメリットは、在職中では難しい時間の使い方ができるようになることです。
転職活動の時間を確保できる
在職中に比べて転職活動の時間を多く取れます。仕事を続けながら企業とやりとりをし、面接の日程を組むのは大変です。
退職後であれば時間に余裕ができるので、企業からの連絡に対してスピーディーに対応できるでしょう。平日に急な面接が入っても日程調整しやすいのもメリットです。
リフレッシュする時間に充てられる
仕事がなくなったことで、リフレッシュする時間に充てることができます。在職中だと週末だけでできることは限られるでしょう。
退職後であれば、旅行に行って気分をリフレッシュしたり、自分のスキルを高める時間に使えます。また人脈作りにも効果的です。
さまざまな人の話を聞くことで、新しい可能性に気づく可能性があるかもしれません。次の仕事が決まるまで、在職中にできなかった挑戦をしてみるのもおすすめです。
失業保険がもらえる
雇用期間が12カ月以上あれば失業保険がもらえます。失業保険をもらうことで、ある程度経済的な余裕を持ちながら転職活動に挑めます。
長時間労働やパワハラなど、1日でも早く仕事を辞めなければ心身ともにもたないという方は検討してみてもいいでしょう。
転職先が決まる前に仕事を辞めるデメリット
仕事が決まる前に退職するのはリスクも大きくなります。特に仕事が決まらず、無職の期間が長期化してしまうかもしれません。
経済的な余裕がなくなって転職に失敗してしまう
仕事がない状態で転職活動を行っていると焦りを感じ、転職が失敗しやすくなります。経済的な余裕がなくなり転職先を妥協してしまうためです。
大手への転職を目指していたつもりが、書類審査にも通らないという状態が続くと、ストレスを感じやすくなり、正しい判断ができなくなってしまいます。
また、採用担当者もある程度年収が低くても、転職を早く終わらせるために入社してくれると考え、足元を見ることが多いようです。
仕事を続けながらであれば、経済的な余裕がある状態で判断できるため、年収を重視する場合、前職より年収の低い企業の内定は受諾しないということができます。
無職期間が長くなってしまうと企業からの評価が下がる
転職先が決まらず、仕事をしていない期間が長期化すると、企業の評価が下がってしまう恐れがあります。また、計画性がない、何か大きな欠点があるのではないかと見られてしまうかもしれません。
内定を獲得するために資格勉強をしていた、家業を手伝っていたなど無職の間何をやっていたのか明確な説明ができるよう準備しておくといいでしょう。
家族に迷惑をかける
夫婦や家族がいる場合、収入がないと生活が難しくなります。そのため転職先が決まらないまま辞めるというのは無責任です。
また恋人がいて結婚を考えている場合、無職の人と結婚するというのは周囲の理解を得るのが難しく、早く次の仕事に就かないと不安を与えてしまうでしょう。
場合によっては家族から仕送りが必要になり、周囲に迷惑をかけてしまいます。なるべく次の仕事を決めておくのがベターです。
転職者の約8割以上が在職中に転職活動を進めている
エン・ジャパン株式会社の調べによると転職者の8割以上は在職中に転職活動を進めていることが分かっています。
転職活動が長引いた場合でも、経済的に余裕をもって転職活動が続けられる人以外は、仕事を続けながら転職活動を行うのがおすすめです。
次の仕事が決まる前に退職する場合、準備しておきたいこと
転職先が決まる前に退職することはあまりおすすめできませんが、やむを得ない理由で退職する場合、安心して転職活動ができるよう準備しておきましょう。
退職後の生活設計をする
退職後、収入がゼロになるため、これまでの貯金や退職金、失業手当を加えた金額から、必要経費を賄う必要があります。退職金はあるのか、失業保険はいつから受給できるのか、シミュレーションし、いつまでに転職先を決めないといけないのかデッドラインを決めるようにしましょう。
貯金が底をつくまでに転職すると考えた場合、最低でも2~3か月分生活費は確保しておきたいところです。給与の支払いサイクルが月末締め、翌月25日支払いとしている会社が多く、転職先が決まっても、働き始めてから給与を受け取るまで2カ月ほどかかります。
貯金が減った場合、アルバイトでしのぐことは可能ですが、転職活動がおろそかになってしまう恐れがあるため、おすすめできません。
自分のやりたい仕事・方向性を定めておく
次の仕事をなるべく早く見つけるためには自分のやりたい仕事や方向性について決めておくことが大切です。方向性を決めておくことで転職に関して決断がしやすくなります。
やりたい仕事や方向性が明確だと応募する業界や企業が絞れるためすぐに動けます。
やりたい仕事や方向性が決まっていないと、応募段階から迷い、時間の浪費につながる恐れがあるためできるだけ決めておくといいでしょう。
履歴書・職務経歴書作成などの転職活動準備
退職すると決めたら、履歴書や職務経歴書など転職活動に必要な書類を作成しておきましょう。余裕があれば、自分の希望にマッチした求人をピックアップしておくのもおすすめです。
このように、あらかじめ準備しておくことで転職活動がスムーズに始められます。気持ちにも余裕が生まれ、落ち着いて転職活動に挑めるはずです。
ハローワークで失業手当の手続き
転職先が決まっていない状態で退職する場合、必ずハローワークで失業手当の給付手続きをしましょう。失業手当は離職中の収入源人なります。
収入があることで精神的な不安が軽減され、落ち着いて転職活動ができるでしょう。
失業手当の手続きには、退職後に会社から届く離職票が必要です。手続きが遅くなると受給開始時期も後ろ倒しになるので、離職票が届いたら直ちにハローワークに手続きへ行きましょう。
失業手当以外にも病気やけがで15日以上働けない場合は傷病手当を受けることが可能です。ただし、傷病手当は就労不能となった場合に支給され、失業手当と同時需給はできません。一定の条件を満たして医師の診断書を提出することで受け取れるので、当てはまる場合は申請してみるといいでしょう。
健康保険・年金の切り替え手続き
健康保険・年金の切り替え手続きも、転職先が決まる前に退職した場合やっておくべきことです。会社員でなくなると健康保険や年金は自分で支払う必要があるからです。
切り替えせずに放置していると未納状態となってしまいます。そうなると病院へ行った場合全部自己負担となったり、将来もらう予定の年金受給額が少なくなったりします。
家族の理解を得ておく
退職前に必ず家族に了承を得ておくことが重要です。配偶者としっかり話し合わないまま仕事を辞めてしまい、問題になるケースはよく見られます。生活費は失業手当で当面補填できますが、そう長く続きません。
転職が成功しても収入が下がってしまい家系に影響を与えることも。
転職したいと思った段階でまず家族に相談しておき、会社に伝えるよりも先に配偶者に伝えるようにしましょう。
転職活動を有利に進めるには
転職先が決まる前に退職した場合、一刻も早く内定をもらいたいと思いますので、転職活動を有利に進めるコツを紹介します。
伸びている業界や職種に応募する
伸びている業界ほど人材を必要としており、チャンスが豊富だからです。さらに成長業界のため、後のキャリアップも実現でき、同時に収入アップも見込めます。
主な成長業界はIT業界やAI・ブロックチェーン・ロボティクス業界があります。
国や自治体の就職支援サービスを利用する
中小企業を中心に豊富な求人情報を持つハローワークなどの公的就職支援サービスを利用しましょう。無料で受講できる職業訓練があるのも公的サービスの魅力です。
自治体によって提供するサービスが異なるので、自分の住んでいる地域のハローワークではどのような支援を行っているのか確認してみてください。
転職エージェントで自分にあった仕事を見つける
転職エージェントはプロがサポートしてくれるので、効率よく転職活動を進められます。転職エージェントを利用すると以下の様なサポートやサービスが受けられます。
- 転職に関するあらゆる相談に乗ってくれる
- 履歴書の添削
- 面接のサポート
- 条件にあった企業の紹介
- ブラック企業の選定
これらのことを請け負ってくれるので、一人で転職活動を行うよりも次の仕事が早く見つけられるでしょう。
まとめ
次の仕事が決まる前に退職するのはさまざまなリスクがあるので、転職先を決めてから退職しましょう。次の仕事が決まる前に退職すると、転職が決まらず焦ってしまい悪条件で転職してしまったり、やりたくない仕事でまた転職を繰り返す事態となってしまいます。
さらに経済的に苦しくなり、面接でも足元を見られかねません。できれば在職中の安心できる状態で転職活動を進めることが最も安全な方法といえます。
とはいっても、どうしてもやむを得ない理由であれば、心身に支障がきたす前に逃げ出すのも一つの手段です。まずはゆっくり休んでから、転職先を探してください。